アスベスト研究会は、菊水化学工業株式会社が発起人となり、アスベスト含有建材の除去・撤去工法を、全国の関連企業の皆さまと、研究、開発、安全管理などの情報交換・協議する場として2019年4月18日に賛同いただいた正会員57社、賛助会員2社、顧問3名と、菊水化学工業を含めた63社で発足しました。 2022年度は正会員101社、賛助会員4社、顧問3名で活動しています。
菊水化学工業株式会社は、石綿処理薬剤、建築用仕上塗材、耐火被覆材等の製造メーカーであり、石綿処理工事においても、早くから安全に石綿処理する技術工法を確立してまいりました。 健康障害で問題となった吹付け石綿(レベル1)への製品開発及び技術審査証明の取得。近年、建築用仕上塗材における石綿含有対策が問題となる中では、環境配慮型剥離剤「キクスイ SPリムーバーエコ」を開発。また、有害物質とされるPCB・鉛・クロム含有の有機塗膜除去に有効な剥離剤「キクスイ アクアリムーバーエコ」を開発など、仕上材製造メーカーとしてのノウハウを活かし、安全な環境対策と技術工法をご提案しています。
アスベストを取り巻く市場環境は、令和3年4月1日の石綿関連法規改正施行により 0.1wt%を超すアスベスト含有建材の除去及び改修工事において、レベル1、レベル2、レべル3の従来の分類に関わらず規制が強化されました。今後、アスベスト除去・撤去・処分は、2028年をピークに2050年以降まで継続されることが予想されています。さらに、アスベスト以外の有害物質として、PCB、鉛、クロムなどの規制も強化され、アスベスト同様の安全管理が求められつつあります。
アスベスト含有建材の除去管理システムについては、国立研究開発法人建築研究所における実証試験、厚生労働省等における実証試験を経て石綿関連法規改正や工事マニュアルに反映されていますが、工法についてはマニュアル等に明記されていない工法が 、関連企業により開発され始めています。しかし、今もなおより安全で確実な工法は求められており、関連企業においては、その開発した新たな工法の認知において、まだ多くの課題が残されています。また、アスベスト含有建材の調査、分析方法においても、実際の工事運用において多くの課題が残されています。 このように、アスベスト含有建材処理における市場拡大と法規制と工事運用のギャップに対して、より安全で適正な処理方法の確立を、一企業の情報と開発に頼るだけでは、市場で内在するニーズに十分な対応が不可能と考え、多くの関連企業との情報交換や、工法開発・改良と普及を目的として、賛同いただいた関連企業とともに 環境配慮・建物維持修繕に努め、持続可能な社会に向けた課題と捉え取り組んでいます。