世界文化遺産『軍艦島』での挑戦




軍艦島(端島)試験施工への参加

世界遺産でもある端島炭坑(通称『軍艦島』)にて実施された「端島70号棟における補修材の効果検証に関する試験施工」に参画し、弊社の提案製品・工法で施工を行いました。

【期間】
令和7年9月に補修試験施工した箇所を、令和17年3月末まで定点観測し、弊社製品・工法の有効性を検証していきます。

<協力>長崎市
<試験施工の計画・監理・評価>
 公益社団法人日本コンクリート工学会
<試験施工監督者>株式会社八洋コンサルタント
<試験施工参加者>菊水化学工業株式会社

参加の目的

  • 弊社がサスティナビリティ経営で掲げるマテリアリティ「事業を通じて困りごとの解決」と、SDGsのターゲット11.4「世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する」の目標達成に向けた取り組みです。
    長年にわたり培ってきた無機・セメント製品の技術と叡智を結集させ、軍艦島に建つコンクリート構造物の長寿命化の一翼を担ってまいります。






製品・工法の選定


軍艦島保全の意義

端島炭坑(軍艦島)は「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の一つとして世界遺産に登録されています。 世界遺産は"価値を守り、次の世代に引き継ぐ"という国際的な義務もあります。
島全体が"炭坑のための都市"として作られており、高人口密度でどのように生活していたかがわかる遺構です。 初期の鉄筋コンクリート造の高層住宅等が今も残り、近代建築の貴重な実物資料となります。 1974年炭坑閉鎖以降、無人島となり40年以上の歴史を刻んできた廃墟としての文化価値もあります。
2009年長崎市が観光客向けに、指定された安全な一部のみ一時上陸も許可しており、全体的な修繕・安全対策が必要となります。

選定理由

軍艦島は海水や潮風にさらされており、コンクリートの劣化原因となる塩害(※)が発生しやすい環境のため、
塩分を吸着して鉄筋の錆を抑える材料を使った工法を採用しています。


※塩害...塩分が鉄筋コンクリート内の鉄筋に錆を発生させ、その体積膨張によりコンクリートにひび割れを発生させ、漏水やコンクリートの剥落などを引き起こすこと。
 その結果、鉄筋コンクリート構造物の耐久性を低下させます。

現地(軍艦島70号棟)の状況

70号棟とは1958年に鉄筋コンクリート造で6階建てとして建設された小学校と中学校が併設された施設です。

・建物内には、建具の瓦礫や、梁・天井から落下したコンクリート片も散乱していました。

・施工箇所の梁や天井は、経年劣化によりコンクリートが剥落し錆びた鉄筋が露出していました。

試験施工の状況

はつり
断面修復
防錆処理
保護材(完成)

※軍艦島(端島)は「長崎市条例」により立入が厳しく制限されており、通常は内部への入域はできません。
 今回の試験施工・調査・撮影は、長崎市より特別な許可を得て実施したものです。



現地での困りごと・気づき

・島内は重機が使えない為、全ての機材(約1t)を船着場から人力で運搬することが大変でした。
・錆びた鉄筋は、表層の錆を健全な層まで削り落とす必要があり、何処まで鉄筋が残せるか不安でした。
・斫り作業による振動で、施工箇所以外のコンクリートが剥落しないように、細心の注意を払いました。
・見上げ面の厚付け断面修復(約10cm)は、材料の落下リスクが高く、限られた時間内での工程管理が難しかった。

長寿命化への貢献

弊社は、創業から変わらぬ誇りと信念をもって製品の開発・製造・販売に取り組んできました。また、建物や構造物の困りごとを解決することで、事業を成長させてきました。
しかし、「端島70号棟における補修材の効果検証に関する試験施工」の参画では、これまで経験した事のない様々な苦難と試練が待ち受けているかもしれません。
弊社としては、その苦難と試練を乗り越えることも社会的使命としてとらえ、建物や構造物の長寿命化に貢献してまいります。